15 それこそが、真実/在りし日々

満月の日はやってきた。ダンブルドアには事前にこの事を伝えてあったしリーマス・ルーピンが人狼の事もしていたこともあって、名前も叫びの屋敷で1日過ごすこととなった。
勿論、当のリーマス・ルーピンは自分ひとりだと思って叫びの屋敷に入ってきた。
そして今にも蛇に変身しそうな名前を見つけてビックリした。

「―――――君はっ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・リーマス・ルーピン――――」

「どんな理由にせよ僕が人狼だということを知っているんだろうね・・・僕はもうすぐ変身する・・・早く逃げないと君をかみ殺してしまうかもしれない」

今にも変身しそうなのだろう・・・苦しそうに耐えていた。すると後ろからどたばたと音が聞こえてきた――――――そしてその人物達は名前の姿を見つけると絶望に似た叫びをあげた

「―――名前・ダンブルドアめ!どうせスネイプのヤローからリーマスが人狼だって聞いたんだろ!?それでやってきたんだろ!?リーマスをホグワーツから追い出すために!!!」

シリウスは今にも飛び掛ってきそうな目だ。隣にいるアルとジェームズは動揺して言葉が出ない様子だ

「・・・どうして、君が・・・・・・」

「先輩方・・・僕から離れたほうがいい、もうじき変身する」

「まさか、君も人狼なのかい――――!?」

リーマスは今にも目玉を地面に落としそうなほどに目を見開き、驚いていた。

「いいえ・・・違います・・・・・・・・」

もう耐えられそうに無い・・・・・・・それはお互い、同じだったようだ
リーマスは苦しそうに遠吠えを上げ、人狼へと変身してゆき――――――名前は身をよじりながら巨大な大蛇へと変身していった

アルたちは慌てて動物もどきの姿になると、リーマスよりも自分達も遥かに巨大な蛇に変身した名前を動揺と驚愕な眼差しで見つめた

『・・・』

名前がシューシューと蛇語で喋るものの、彼らには通じなかった。名前はいまやリーマスの数倍の大きさの大蛇だ・・・瞳孔は裂け、赤く美しい瞳と大理石のような白さの表面が月光に照らされて不気味にその存在を主張していた

『・・・・・・』

「おまえ、なんのためにここへ・・・まさか、それにへんしんするからか?」

シリウスが犬語で話し掛けるものの、どうやら名前には伝わっていないようだ。回りの皆は名前に話し掛けたが言葉はまるっきり伝わらない様子。リーマスは変身したばかりでそれどころではなかったが、どうにか周りを確認することが出来た

「きみは・・・どうしてへびにへんしんするんだい?」

リーマスは人狼語で話し掛ける。すると人狼の言葉は通じるらしい・・・・・・リーマスの耳にはシューシューという音ではなくしっかりと声が聞こえていた

『・・・じぶんでもよくわからないんです・・・・・・どうやらこのすがたになるとやみにしかはんのうしなくなるんです――――じんろうはこちらがわのいきものだから、ことばがつうじあうんだとおもいます』

「そういうことなんだね・・・・・・じゃあきみはぼくをみっこくしようとはしてないわけだね?」

『・・・もちろんです。ただこのすがたになっているとまわりがおどろいてしまうので・・・・・・ここにくることをだんぶるどあからきょかしてもらっているんです』

「そうなんだ・・・てっきりぼくはきみがみっこくするのかとおもったよ」

どうやら疑いは晴れたらしい。リーマスは名前と話した事を皆に一通り話した。アルたちもどうにか名前を信じてくれた様子だ。

「じゃぁ、おれたちのことばがつうじないのは・・・あっちがわのいきものじゃないからか?」

「そういうことだろうね」

シリウスの黒犬とジェームズの牡鹿は納得した。アルのオウムは再び名前を見つめた

「・・・ぼくたちのことば、つうじない?名前・・・・・・」

『・・・・・』

「―――じゃあぼくがつうやくをするよ」

『・・・ありがとうございます』

そして名前の言葉をリーマスが皆に通訳して伝え、みんなの言葉をリーマスが通訳して名前に伝えるという話し合いが始まった。

セブルス・スネイプと本当に兄弟ではないのかという質問からアリス・レーガンのことまでありとあらゆる質問をされ、最後には今まで悪戯をしてて悪かったと彼らから謝ってきた

『・・・きにしていませんので、だいじょうぶです』

「きにしてないって名前はいっているよ・・・でも名前、ぼくたち・・・きみにわるいことをしていたよ」

『だいじょうぶです・・・ですができればせぶるすにたいしてのいたずらをけいげんしてくださると、うれしいんですが―――』

「あぁ・・・名前、それはできないよ――――すにべりーのいたずらをけいげんさせるなんて」

どうやら彼らはこれだけは譲れないらしく、名前がどんなに頼んでも頷いてくれることはなかった。

「でもかってにへんしんしちゃうなんて・・・やっかいなびょうきだね」

『はい・・・ですがもうなれました』

それから随分と雑談をし、流石に許可の出ていないジェームズたちはしぶしぶ城へと戻っていく事となった。変身した彼らを最後に振り向き出口へと向かっていった

「・・・名前につたえておいてくれないか?・・・いままでわるかったって」

「なんだいしりうす・・・なんでいまいうんだい?はずかしいんでしょ」

「うっうるさいぞりーます!」

『・・・?』

言葉のわからない名前にとっては彼らがどんな会話をしているのだろうかと首をかしげることしかできなかった。

「あと・・・名前にもうひとつ。おれたちのことはファーストネームでよべっていっといてくれないか」

「りょうかいしたよ」

そう言い残すとシリウスはしぶしぶとジェームズたちを追って出て行った。部屋には妙な静寂が流れた・・・・・・だけどそれは孤独なんかじゃなかった

「へんしんしたとき、いつもこどくだった・・・・・・だけどかれらがぼくをすくってくれたんだ」

『そうなんですか・・・』

「かれらがともだちで・・・・・・よかった、そうおもうよ」

リーマスと名前はそれから色々な話をして過ごした。心の痛みに全く苦しまない満月なんて生まれて初めてのリーマスはすぐさま心地よい眠りが襲ってきたらしく、名前よりも先に眠っていた。
名前も彼らと和解できた嬉しさもあって今日はすぐ眠りにつくことができた。

「名前、いい子ね・・・いい子ね」

夢の中だろうか・・・声が聞こえてくる
その声はとてもやさしくて、だけどどこか儚そう――――

「おまえは・・・・・・わたしがまもってあげるからね」

夢の中の女性――――アリスは我が子名前をぎゅっと抱きしめ、銀色の涙が瞳から零れ落ち、名前の頬へとツツツと流れ落ちた。
そういえば、この姿になるようになったのは…あの日からだ。母上と父上にはこういった変化は現れなかった、けれども、どうしてか僕だけが蛇に変身してしまう。きっと、これには深い意味があるのだろう…。
あの満月の日以来、ジェームズたちの名前への悪戯はとたんに止まった。そして会話もするようになった。

「おはよう名前」

「・・・おはようリーマス」

リーマス達は仲が良くなった証にファーストネームで呼び合うことを提案した。それは半ば脅迫に近かったが。

「浮かない顔をしているね・・・」

「・・・リーマス達のあまりの切り替えの早さに驚いている」

「・・・だってほら、僕たち君がスリザリンだしスネイプにあまりにも似ていたからさ・・・・・奴と同じく嫌味な奴なんだろうなって勝手に決め込んじゃってたからねぇ」

「だけど名前は違った!」

どこからともなくいつも元気なジェームズとまだ眠いのか頭をぽりぽりとかいているシリウスがやってきた。

「・・・ジェームズ、シリウス・・・おはよう。」

「無論さ!ところでスネイプの弱点・・・・・本当に分からないのかい?」

「懲りないなジェームズも・・・僕は何も答えない」

早速仲良くなった後日に聞かれた質問は「スネイプの弱点はどこだ?」だった。セブルスも仲良くなった事に対して大批判していたっけ・・・・・・つまり人間、嫌いなものは嫌いなのだろう・・・犬猿の仲とはまさにこのことだ。
ジェームズたちと話しているとセブルスが眉間にしわを寄せてこちらを睨んできた。・・・勿論ジェームズたちに睨んだのだが

「名前・・・」

「・・・分かったセブルス、今行く。じゃあな・・・・・・・・・」

セブルスはジェームズたちと仲良くしていることが気に食わないのか、名前を呼んで彼らから遠ざける作戦にでた
無論名前の中の優先順位では1位にセブルスとアリスが立っているのでどんなことがあってもジェームズたちがセブルスに敵う事はなかった

「・・・怒っているのかセブルス」

「・・・いいや、怒ってなどいない。だが気に食わないだけだ―――なんで奴らと口を聞くんだ・・・・・・・・・」

席に座っても尚ぶつぶつ言っていたセブルスをとりあえず食事に集中し気にしないようにしていたのだが、そうもいかなかった。

「ちょっと名前ちゃん!聞いたわよ――――シリウス達と仲直りしたんですって?」

アリスが急に話を持ちかけてきた。ピクリとセブルスがすかさず反応した

「―――名前、考え直せ。奴らとだけは付き合うな・・・・・・」

「よかったわね、名前ちゃん!」

2人が言う言葉はまるで正反対だった。セブルスはアリスの意見にしわをよせた。

「アリス・・・僕は名前の身を案じてやっているんだ・・・・・・」

「あらあらセブルスったら・・・まるで自分の娘を嫁にやりたくないって言ってるお父さんみたいよ?クスクス」

「―――ばっ!アリス!僕はだな―――・・・・・」

セブルスの顔はトマトよりも赤かった。娘を嫁にやりたくない父親と言われてしまったのだから無理はないだろう。ルシウスもセブルスのそんな発言にクスクスと笑っていた

「―――もういい、名前・・・いいな、ちゃんと忠告はしておいたぞ―――――もごっ」

「はいはいお父さん、手元が進んでないわよ~ちゃんと食べなさいね~」

アリスはセブルスの口いっぱいに野菜を突っ込んだ。2人は本当に夫婦のようだった・・・名前の存在を完璧に忘れられているんじゃないかと思うくらいのラブラブっぷりについついため息を漏らした

「・・・名前、なんだかんだ言って君も楽しそうだね」

「・・・ルシウス先輩こそ楽しそうですね」

こんなにも平和なのに着実に闇が浸透しているなんて想像すらできない・・・・・・この人たちの笑顔が――――――消える日が訪れるなんて