11 それこそが、真実/在りし日々

「名前・・・君は1年生の一番後ろに並んでまっていてくれぬか?」

「・・・はい」

廊下でダンブルドアにそう言われると一年生がずらりと並んでいる階段の一番後ろに並んだ。もう広間には上級生が集まっており、賑やかなものだった
自分も一年前はこんな感じだったんだろうな・・・そう思いながら一年生の集まりを見つめていると前に並んでいた黒髪の少年が名前に話し掛けてきた

「君は純血かい?」

「・・・あぁ」

誰かもこんな質問・・・よくするなと思っているとその答えに満足したのかにこりと笑顔を向けた

「君の名前は?僕はレギュラス・ブラック」

「・・・名前・ダンブルドア」

その答えにぎくっとしたのか、一瞬懸念そうな顔をするが元に戻し再び話し始める

「君、一瞬セブルス・スネイプの弟かと思ったよ・・・・・・」

たぶんこの少年は自分がセブルス・スネイプにあまりにも似ているから声をかけたのだろう。少しビクリとしそうになったがいつものポーカーフェイスで覆い隠した
彼のように自分を見る人は皆『セブルス・スネイプ』に似ている・・・・そんなことを言うのだろうなとなんとなく感じた。だが決してうれしくないものではない・・・むしろ嬉しかった。

「・・・そうなのか?僕はその人を知らないがな・・・。」

知っている人を“知らない”というのはどこか抵抗があったがここは仕方がないだろう。相当組み分けの儀式に周りの生徒が緊張しているのか、組み分けの儀式についてさまざまな方法が討論されていた。

「名前・・・君は組み分け、緊張しないのか?」

「そう言うレギュラスこそ―――あまり緊張しているようには見えないが」

「無論だ、僕はスリザリンに決まっている」

その答えに一瞬親友の姿が思い浮かんでしまった。少し笑うとレギュラスは何故笑う?とでも言っているような顔をした

「いや・・・悪い、何でも無い」

「じゃぁ聞くが、君はどうしてそんなにも緊張せずにいられるんだ?」

「僕もスリザリンと決まっているからな」

恐らく組み分け帽子はスリザリンに入れるだろう。未来でもスリザリンなのだから無論此方でもスリザリンだろう・・・何故だかそう確信できた

「ッフ、君とは気が合いそうだ」

「・・・よろしく」

2人は組み分けをすべく、広間へ歩み進んだ。
新学期恒例の上級生達の視線が一気に一年生のもとへといく。そして期待と緊張に満ち溢れた一年生達の組み分けが始まった

「アルシア・レイ!」

組み分けは例年どおりABC順番で行われてゆく。そしてついに先ほどできた友の名前が呼ばれる

「ブラック・レギュラス!」

広間は騒然となる・・・それはまぁ、当たり前だろうが

「スリザリン―――!!」

スリザリンからは溢れんばかりの歓声が上がる・・・それもそうだろう、何せあのブラック家が自分達の寮に来たのだから・・・
ダンブルドアなんて呼ばれたら広間はどうなるのだろう。それが少し楽しみでならなかった

「―――今年から、2年生へ編入生がやってくる」

1年生の組み分けが終わり、広間のところにはぽつねんと名前が立っていた。皆編入生が珍しいのか、名前のほうをものめずらしそうに見ていた

「ダンブルドア・名前!」

ざわざわと生徒たちの声がうごめいた。どこもかしこも「ダンブルドアだって!?」と驚愕していた

名前はそんなことも気にせず、すたすたと組み分け帽子のところまでやってきて帽子をかぶる。頭のほうから声が響いてくる・・・去年と全く同じだ

「ほう、君が未来から来たと言う・・・ふむ、君の寮は―――」

ダンブルドアという名だから恐らくはグリフィンドールだろう・・・グリフィンドールは期待に満ち溢れた目を名前に向け・・・そして―――――

「スリザリン!」

帽子がそう叫ぶとスリザリン以外の寮からは唖然とした声が聞こえてきた。スリザリンからは意外な組み分け結果で驚いてはいたがあのダンブルドアがスリザリンに入ってきたことの喜びで歓声がそこらじゅうから上がった

「・・・やぁ名前、君って2年生だったんだね――」

「学年が違ってもよろしく、レギュラス」

「ああ」

そんな仲良さそうな2人をとある上級生達が驚いたような目で見つめていた。・・・正しくは名前を――――

「ようこそスリザリンへ、君は純血・・・・・・だろうね。君は校長の孫かい?」

「はい、そうです。僕が病弱だったので去年は入学することは出来ませんでした・・・」

どの時代も変わらない、恒例の純血調べについついため息を漏らしそうになる。病弱で去年は入学できなかった・・・とは無論嘘である。病弱なのは半分嘘ではないが―――

「・・・驚いた、双子みたいだ。ちょうどセブルスの2年生の頃もこんな感じだったな・・」

美しいプラチナロンドの上級生が名前の顔とまじまじと見ていた。このひとには見覚えがある・・・・・・このどこか陰謀を考えていそうな目、上品な雰囲気―――――まさか、学生時代のドラコの父君か?

「申し遅れたね・・・・私はルシウス・マルフォイだ」

やっぱり、ドラコの父君だったか・・・・。ほくそえんだ顔がそっくりだ

「・・・よろしくおねがいします、マルフォイ先輩」

名前が挨拶をするとそれが気に入ったのかルシウスは名前の隣に腰掛けた。

「・・・君は本当にセブルスに似ている・・・。生き別れの兄弟ではないのか?」

「・・・はい、さっきも同じような事を他の人から言われました。」

ここで何か余計なことを言わないようにしなくてはならなかった。名前が未来からやってきたことはホグワーツの教師以外知らされてない事実であってトップシークレットだった。

名前は無意識の内に閉心術をしていることにルシウスは少し驚いていた

「・・・ほう、君はこの歳ですでに閉心術をマスターしているのか・・・・・・流石はダンブルドアの孫だ」

ルシウスはほくそ笑む。

ドラコの父君には申し訳ないが、正直この笑みは背筋がゾッとする・・・なんかこう、嫌なものが背筋を駆け抜けていくような・・・

「名前、我々は君を歓迎しよう。ホグワーツの事はあそこにいるセブルスに聞くがいい」

少し向こうの机を指差すと此方を驚いたように見ている少年・・・・・紛れも無い、学生時代の父親の姿がそこにはあった―――

あれが学生時代の父上・・・確かに、僕そっくりだ。双子のようにも見える・・・だけど此処まで似ているとどこか不気味だな

恐らく向こう側もそう思っているのだろうか、眉間のしわを深くさせていた
とりあえず挨拶はしておかなくてはと思い、セブルスの方を向いた

「・・・宜しくお願いします、スネイプ先輩」

なんだか自分のファーストネームを呼ぶのはすごく妙な気分で歯がゆかった

ルシウスや周りの上級生、同級生達からは色々質問攻めされたが適当に嘘を言ってごまかした。中には嘘ではないものもあるが・・・

「おい、スニベリーが2人もいるぞ!」

誰だ?なきみそとでかい声で言っている奴は・・・
名前はそう思ったが今は食事に集中したかったので無視しておいた。すると声は耳の傍からガンガン聞こえてくるではないか
仕方なしに食事を止めると目の前にはハシバミ色の眼でクセッ毛な少年と、サラサラした黒髪で容姿に恵まれた少年が立っていた。しきりに此方を見てはセブルスと見比べて何かを叫んでいた

「・・・おい、ジェームズ!まさかスニベルスの弟か!?」

「そんなはずは無いよ、だって彼の名前はダンブルドア・・・・そうだろう?」

急に此方に振ってきたので反応が遅くなってしまったが、とりあえず「そうです」と短く答えておいた。

「そっれにしても・・・本当にそっくりだな。ミニスニベルスか?ハハハハ!」

「スニベリーJr,だね」

2人は愉快そうに笑う。スリザリン席の大抵の者達はジェームズと呼ばれた少年達を物凄い目つきで睨んでいた。

「貴様らは自分の席も分からなくなってしまうほど馬鹿なのか?ここはスリザリン席だ、さっさと能無しグリフィンドールに戻れ」

この声はセブルスのものだった。ものすごい形相で2人を睨んでいるが負けず劣らずジェームズたちもセブルスを睨んでいた。

「スニベリー、よかったな子分ができて」

「スニベルスJr,と一緒に仲良くしてな!」

そう言うと再び名前をちらりと見てグリフィンドール席へと戻っていった。
さっきから一体何なのだろう・・・なきみそジュニアだって?誰が?・・・僕がか?なぜ僕がなきみそと呼ばれなくてはいけないんだ・・・・・・それに父上をなきみそ呼ばわりとは――――ジェームズとかいう奴は・・・ん?ジェームズ?ジェームズ・ポッター・・・・・・・?

名前は先ほどからいたハシバミ色の眼をした少年がハリーの父親、ジェームズ・ポッターなのだと今気が付いた。だがしかし今のハリーとジェームズを比べると・・・外見は似ているがどちらかといえばウィーズリーの双子のほうがジェームズに似ているなと思ってしまった。

「気にも止める必要はない、ブラック家の落ちぶれ者と裏切り者のポッターなんてね」

「・・・。」

ルシウスの発言に名前は何もいえなかった。流石に友人の父親を侮辱するのはどうかと思ったのだ。
そして食事も終わり、部屋へと向かう時に1人の同級生に声をかけられた

「あの、君がMr.ダンブルドア?」

「・・・名前でかまわない。」

「じゃぁ名前って呼ばせてもらうね、ぼくはアルベルト・グレイシア、アルって呼んでよ。きみとおなじスリザリンの2年生・・・・・・よろしく!」

ウィルトンはまだホグワーツに来て間もない名前を心配に思ったのか声をかけてくれたようだ。一人で居る事は別になれているがそうやって声をかけてくれるのは嬉しかった。

「名前・・・すごいよ君、だってあのマルフォイ先輩に気に入られるなんて・・・」

「・・・そんなにすごいことなのか?」

「そりゃぁすごいよ!!」

アルは談話室でルシウスに気に入られる事の奇跡を熱く語ってくれた。そう滅多にはいないらしく、居たとしても旧家で才能のある者のみだった。気に入られるのに時間もかかる上に手間もかかるらしい。そりゃぁそうだろうなぁ、と上の空で考えていると自分の部屋までやってきた。

「ぼくと名前、一緒の部屋だね」

「・・・みたいだな」

どうやら部屋もアルと一緒らしい。だがこれは助かった・・・知り合いが1人でも居れば心強いものだ

「それに君、すごいね本当に。」

アルは名前とレギュラスが友達である事に驚いた。あのブラック家の・・・しかも一番期待されているレギュラス・ブラックと友達なのだから

「・・・レギュラスは知りあってまだ間もないがいい奴だ」

そう、恐らくは仲間だけにはいい奴だろう・・・。スリザリン生とはそういうものだった
名前が特殊すぎるのかもしれないが―――

「じゃぁ、おやすみ」

「あぁ」

ウィルは話し疲れたのかベッドにもぐったとたんに寝息を立て始めた。名前はそんな様子を少し呆れたような顔でみていた。

―――父上には会えたが、まだ母上には会えていない――――――
何故だか知らないが、自分は今焦っているのだと思った。たぶんここには長くはいられない―――いたとしても1年くらい。
なんとなくそんな感じがした。帰ることに関しては問題は無いだろうがやはり母親の姿だけは見たかった・・・

「・・・父上、母上、おやすみなさい」

名前は意識を暗闇の中へと落としていった。

『名前・・・・・・我輩はどうしたら』

―――父上?

『セブルス、名前の様子はどうじゃね』

『・・・このように3日間眠ったっきり・・・・・・』

父上とダンブルドアの声が聞こえてきた。父上は深刻な表情をし、ダンブルドアは何か原因をさぐるように僕を見つめていた。
・・・・僕だって?

そこはかの有名な聖マンゴ病院の個室だった。名前はベッドで静かに眠り、その横では普段よりも青白い顔のスネイプとダンブルドアが話していた

『セブルス・・・病院の者が言うにはなんら病気ではないようじゃ、それに呪いも受けた痕跡は無い・・・・・・わしの考えでは名前は恐らくどこか別の空間で過ごしているのではないかとわしは考えておる』

『・・・別の空間』

『わしは20年ぐらい前のことを少し思い出しての・・・じゃが何故かはっきり思い出せんでのぅ・・・・・・思い出そうとすると現実に呼び戻されてしまうのじゃ。』

『・・・ならば、どうやったら帰ってこれるのですか』

『それには心配及ばぬ、名前の意識はすぐ帰ってくる・・・・・・しばらくは休学ということにしておこう、闇の印のせいでだいぶ体力が削られたからのう・・・・・・・今は存分に休ませてやろうではないか』

『・・・』

スネイプは名前の頬に掛った髪の毛を払いのけ、息子の額にキスをするとダンブルドアと共に病室を去っていった。

―――まさか、現在の僕はこんな状況だということなのか?眠っている・・・何故?
名前には分からなかったが、憶測として過去に行ってしまったから現在の自分は眠っているのだ・・・・という事しておいた。

そしてまたグンと内側から引っ張られる感じで名前は過去の世界へと呼び戻されてしまった。本当ならそのまま自分の体に戻ってしまいたかった・・・父上を安心させたかった

だがそれもどうしようもなくて、引っ張られるがままに引っ張られて過去の世界へと戻っていった。

「おはよう、名前」

「・・・おはよう、アル」

昨日から友達となったルームメイトのアルベルト・グレイシアはスリザリンでは珍しいタイプの類だった。類は友を呼ぶ・・・そう言うべきなのだろうか
彼は他の寮生とも仲がよく、優しくて全然スリザリン生感が無かった。そのためかアルは他のスリザリン生からよく陰口を言われるらしく、最初のほうでは直接暴力も受けた事があったそうだ。最近では流石に飽きたらしく、陰口程度しかないという。
今となっては陰口を言うスリザリン生はごく一部で、アルの人のいい所が買われたのかある程度の先輩達からは可愛がられているしそのごく一部以外の同級生とも仲が良かった。
そこまで両立して過ごせるだなんて尊敬の一言だ。

「アルおはよう!」

「おはようジェームズ」

ジェームズだって?面倒だな・・・
名前はその場を去ろうとしたのだが、黒髪の上級生が前に立ちふさがってそうさせないようにしていた

「・・・あの、先輩どいていただけますか」

「嫌だね」

「・・・分かりました」

「え!?」

名前は仕方がないと思いアルの元へと戻っていった。その反応が以外につまらなかったらしく口を尖らせて名前を見た。

「やぁ、君は名前・ダンブルドアだよね?僕はジェームズ・ポッターさ」

「・・・よろしくお願いします、ポッター先輩」

「いやぁ・・・君ほんとスニベリー・・・・・・セブルス・スネイプのことだけど、ほんと奴そっくりだ・・・奴が僕に対して下から物を言っているみたいでちょっと優越感があるよ」

ならばどう言えばいいんだ・・・
名前はため息がついつい漏れそうになった。

「・・・お前、レギュラスと仲がいいのか」

「・・・?まぁ」

黒髪の上級生は何を思ったらしく突然レギュラスのことを聞いてきた。一体何なのだろう・・・

「何目的だ?金か?地位か?」

「やめなよ」

ジェームズは止めるがそれを黒髪の上級生は制する

「金か?地位か・・・?まぁ純血なんて所詮そんな奴らばかりだよな」

純血がまるで卑怯な人たちだとでも言いたいような発言に、名前はすこしカチンときた

「・・・先輩のおっしゃりたい事がよく分かりかねますが・・・・・・レギュラスとは友達です、友達でいてはいけないのですか。友達の意味、少なからず僕は知っています。先輩はご存知無いんですか?」

「・・・もういい、ジェームズ行こう」

黒髪の上級生は何を思ったのかジェームズと広間へさっさと行ってしまった。
アルは尊敬の眼差しを名前に向けていた

「・・・名前、君って本当にいいやつだね。ぼくと君ってやっぱりどこか似てるね」

「・・・そうかもな」

2人はスリザリン席へと向かっていった。