気付けばフリットウィック先生はハリー達の所へ行き何かを話していた。
・・・明らかにドラコは不愉快な表情だ
「実は、マルフォイのおかげで買っていただきました」
ハリーの声が聞こえる。
それにしても・・・やるなハリー。僕は一生懸命笑うのをこらえた・・・
そうでなければ後で親友からの猛烈なる説教を受けることとなるだろうから。ドラコは案の定、怒りをあらわにさせ苦々しげにその場を後にした。・・・あーあ、後でたくさん愚痴を言われるよ。名前はため息を吐きながら階段を上がった。途中ハリー達と目が合い、無論箒にも目がいった
「・・・はんっ、何のようだよスネイプ」
ウィーズリーは相変わらずだな・・・
「何がおかしい!」
「いや、相変わらずだなと思ってな・・・それにしてもハリー、おめでとう。マクゴナガル先生からだろ?」
名前がそう言うと二人とも意外だったらしく、しばらく驚きで口をぽかーんとあけていた
「あ・・・うん!」
「それにしてもニンバス2000か・・・いい箒を貰ったな」
「うん・・・なんだか申し訳ない気持ちだよ。」
「それにしても、ドラコの表情・・・面白かったな」
名前はドラコが居ないのを確認し、再び思い出し笑いをした
「アッハハハハ!すごいよあれは傑作だったよ・・・って、君マルフォイの親友じゃないのかい!?」
ハリーは親友の悪口を言う名前にビックリした
「いや、親友だが・・・だがあれは確かに傑作だ。ドラコも自業自得だ・・・それにハリーに当たるのはお前が羨ましいからだと思う」
「えっマルフォイが僕を!?」
さらにビックリした声を上げる。これにはロンもびっくりした
「あぁ・・・あいつは人一倍見栄っ張りだからな。話は変わるが、ハリーは本当にジェームズさんの遺伝子をしっかりと受け継いだんだな」
「・・・ありがとう!」
ハリーは何だかすごく嬉しかった。父親に似ている・・・なんだか今は居ない家族がすぐ近くにいそうな気持ちになる。
「おいお前、ハリーの父さんを知ってるのか?」
ロンがびっくりしたような顔で聞く
「・・・あぁ、父上と母上とは学生時代・・・同期だったようだ。」
「え!?」
ロンはさらに間抜けそうに口をぽかんと開ける。ハリーは前にこのことについて話したことがあったからそんなリアクションはしなかったが・・・
「何だか名前と話すのって久々な気がしないかい?」
「そうだな、ハリー。彼がなかなか話そうとするのを許してくれないのでな」
「当たり前だろう!!」
ウィーズリーはいつまで意地を張っているのやら・・・
ハリーはロンのいう事にお構いなしといった感じで、名前と今までのことを色々と話し合っていた。
「・・・決闘のアレ、よく考えてみればドラコが来るはすが無いって思わなかったか?」
「―――確かに、今思えば!あぁ~くやしいなぁ・・・でもいいよ、復讐は必ずするから」
というとハリーはフフフと腹黒い笑みを浮かべ、文句をいいつづけるロンを引っ張って寮へと入っていった。月日は経ち、11月の寒さが本格的にやってきた頃である。
ハリーは相変わらずクイディッチの練習に日々追われ、僕は宿題に追われる毎日だった。
「名前・・・レポート完成したか?」
「・・・まだだ。あと1センチ残っている」
「あと1センチ!?」
ドラコは名前の積み重なったレポートの山を見て仰天する。
「・・・流石だな、君は書くスピードが尋常じゃない。どうやったらそんなに早くなるんだ?」
「普通に書いてるつもりだが・・・しゃべってるより手を動かした方がいいんじゃないか?」
名前が言うとドラコは分かっている、とむすっとして再びレポートに取り掛かった。翌朝、眠たい目をこすりながら広間へやってくるとあの双子に捕まった。今日は珍しく寝坊してしまったために、ドラコは先に広間に行ってるのだ。
「「名前ー!久しぶりだな!」」
「・・・あぁ、久しぶりだな。思えばそろそろクイディッチシーズンだな」
「「そうだとも!我らグリフィンドールには我らが大統領、ハリー・ポッターがいるからな!」」
我らが大統領?なんだそれはと言おうとしたとたん、スリザリンの女子らに会話を阻まれてしまった。おまけに今まで会話をしたこともない子たちばかりだ。
「向こうでドラコが呼んでたわ、さ、行きましょう!」
「さようならウィーズリー」
この妙な団体、早く解散してくれないかな。
「おい名前・・・さっき“親衛隊”が広間へぞろぞろと向かっていってたが・・・・・・お前何かしたのか?」
ドラコが寮の前に呆然と立ち尽くす名前を不思議そうに見た。
「フレッドとジョージ達と話していただけだったのだが」
「また君は・・・本当に懲りないよな。君の友達関係をとやかくは言わないけどさ・・・君に何を言っても無駄だという事が分かったし」
「お褒めのお言葉として受け取っておこう。」
「褒めてなんかない!まったく、クイディッチシーズンが来るというのに君は・・・・敵チームとぼやぼやと仲良く談話なんかしていていいと思ってるのか!?」
ドラコの説教が始まった・・・これで何十回目だろう、数えられないくらいなのは確かだ。ドラコのグリフィンドールアレルギーはどこの癒者にかかれば治るんだろうな。
「聞いているのか!?」
「あぁ、すまなかった。」
何も聞いてなくて。
「君のすまなかったは信用ならないよ・・・」
「どういたしまして」
「・・・はぁ」
ドラコは盛大なるため息をついた。数日後、グリフィンドール対スリザリンの試合では見事にグリフィンドールが勝利をつかんだ。その事実をまだ認めたくないのか、ドラコはまるで死んだ魚のような目をしていた。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ・・・・・・」
「ドラコ、そう気を落とすな。」
「・・・名前、君は悔しくはないのかい?あぁそうだったね、あのポッターと友好関係だったんだね・・・・・・忘れていたよ」
「だから何だと言うんだ?まぁ少しは悔しいがまた次がある。授業で挽回する事も可能だしな・・・・・・可能性がゼロな訳でもないだろ?」
「まったく・・・あのポッターめ・・・・・・絶対次は負かしてやる―――」
「・・・授業での点稼ぎに勤しむしかないな、僕が言うのも何だが魔法薬学の授業があるだろ」
ここはなんとしても親友に元気付ける言葉をかけてやりたいがために普段ではありえない事も言った。ま、これで少しは気が晴れてくれれば嬉しいのだが・・・
「そうだ、魔法薬学があった・・・クククポッターめ楽しみにしてろよ・・・・・・」
どうやらドラコの機嫌は普段のように戻ったようだ。これで一安心といったところだろうか・・・・・・
だが正直、試合をあまり見てはいなかった。興味が無かったと言えばそうかもしれない。皆が熱中する意味がいまいちよくわからない・・・得点なんぞ、授業で本来稼ぐべきなのではないかと思うのは僕だけなのだろうか。
名前は落胆したスリザリン寮の空気がなんとなく居たたまれなくて憩いの場図書館へと向かっていった。途中ハリー達と出会ったが何故だか目をそらされてしまった・・・
せっかく仲良くなったのに再び悪くなってしまうのかと思うとなんだか悲しくなってくる。結局僕はスリザリンだから駄目なのだろうか、“スネイプ”というファミリーネームだからいけないのだろうか――――
とりあえずそんな悲しい気持ちも読書で晴らそうと何か面白そうな本は無いかと探していたときであった。
「・・・!?」
上のほうにあった本を取ろうとしたときだった。引き抜こうと腕を伸ばしたとたん他の本もたくさんバラバラと落ちてきたのだ。名前は言うまでも無く本の雪崩といった災害に見舞われ本の下敷きとなってしまっていた。
―――まさにこれぞ不幸な日・・・・・・・・・一体僕が何をしたと言うんだ、ハリー達には無視されるし・・・
本の山の中でそんな在りし日を思い起こしていたら急に光が差し込んできた。恐らくは誰かが見つけてくれたのだろう・・・それにしてもなんとも恥ずかしい姿だ、まるで女子がやらかしそうなことを男である僕がしてしまうなんて―――
「君、だいじょうぶかい?」
「・・・すみません。」
見上げると裏表が無さそうで優しそうなハッフルパフの上級生がいた。
「ありがとうございます、先輩」
「君って・・・あのスネイプ先生の息子かい?」
「…はい、名前・スネイプです」
「突然ごめんね、僕はハッフルパフの3年生セドリック・ディゴリー」
セドリックが落ちた本を戻す作業を手伝いながら聞いてきた。
「僕の事はセドリックって呼んでくれよ。ここの本棚、いつも本がぎちぎちに詰まっててとりにくいだろう」
セドリックは裏表の無い笑顔を名前に向ける。
「これで全部本は戻ったね、此処の本棚は雪崩で有名な場所だからこれからは慎重に本を取ったほうがいいかもしれないね」
「そうですね。」
「名前、敬語もNGだよ・・・友達なんだから」
いつのまにかに友達になっていたんだ?そんな疑問もまぁいいかと思った名前であった。
正直、恒例の父上とドラコ目的のソレでもなさそうだし友達になってもいいか・・・
「・・・分かった」
「よし!じゃぁ今度からは気をつけろよ名前。じゃあね、僕はこれで失礼するよ」
「・・・あぁ、またなセドリック」
名前がそう言うと満足したのか、にこりと微笑み去っていった。
嫌な事もあったが新たな友もできたことだし・・・ここはひとまず嫌な事を忘れる事もできたしセドリックには感謝をせねばならないだろう。
「「名前ー!」」
このステレオサウンドは・・・再びフレッドとジョージに出会ってしまった。ちょっと前に変な悪戯グッズの試作品を試されそうになったのもあり彼らと出会うときは通常の3倍ほど警戒をするようになってしまった。
「そこまで警戒しなくても・・・今日は何もないよ」
「“今日は”だから困るんだ・・・今後は絶対にやめていただきたいのだがな・・・・・・まぁおまえたちに何を言っても無駄だという事は知っている。」
「冷たいなぁ名前は~」
「で、何の用だ?」
「「今日、試合の時ハリーに魔法をかけた奴が誰だか教えてくれないか」」
2人のふざけた顔が一変して真剣な顔へと変わった。この双子がこんなにも真剣になるのだから・・・おそらくはその魔法は相当のものだったのだろう。だがしかしハリーに魔法?何の事だ?
「・・・ハリーに魔法?試合中にか?」
「あぁ、名前も見ていただろう・・・?スリザリン席にいたならば誰が魔法を唱えていたか分かるだろ?お願いだ、そいつが誰だか教えてくれないか?一生の頼みだ・・・」
残念ながら名前は試合中、ぼーっとしていた上に試合すらも見ていなかった。回りのスリザリン生なんか見てるわけも無くて・・・・・・
「・・・すまないが僕は試合にまったく興味が持てず、新薬のことをずっと考えていたので回りの生徒を見渡す事が出来なかった・・・・・・だから残念だが教えてやることはできない」
「それ、本当かい?まぁ名前ならクイディッチなんて興味無さそうだしな―――確かに新薬のことのほうが君にとっては大事だろうね・・・・・・そしたら尚更周りの生徒なんか気にも止めないだろうね」
「そうだな、ジョージ。名前はどうやら僕らが求めている答えを知らないようだ・・・」
「ちょっとまて、何が起きているのか説明してくれないか?」
名前は試合中起きた出来事を一通り双子から教えてもらった。まさか自分が新種の脱狼薬を考えていた時にそんな出来事が起きていたなんて・・・
「で・・・スリザリンが怪しいと?つまりはそういう事だな・・・まぁ僕が言うのも何だがスリザリン生ならやりかねないことだろうがそんな高度な術、学生でできるか?」
「「えっそんなに危ない術だったのあれ!?」」
「・・・分からないで聞いてきたのか・・・・・・おそらくそれは闇の魔術に長けてる者がかけたんだろう、それにしてもダンブルドアの眼下によくそんな真似ができたものだな」
「「闇の魔術・・・」」
双子はその言葉に身を震わせる。おそらく名前と同じ人物を連想したのだろう
「ヴォルデモート卿とかか?」
「「名前!」」
「名を恐れる事はその者への恐怖を増徴させるだけだ、それにしてもそんな人物がホグワーツに侵入してきたとたんダンブルドアがいち早く気付き対処しているだろう・・・ヴォルデモート卿以外だったら一体誰なんだろうな・・・」
名前がヴォルデモートというたびに双子はびくりと背筋を震わせる。
「何か分かり次第報告する・・・」
「あぁ、ありがとう名前―――じゃぁ僕たちもこれから色々と捜索してくるから」
「あぁ」
双子と別れ、スリザリン寮へと向かおうとしたときクィレルと遭遇した
ズキッと再びあの左眼の痛みがやってきた。今度は前よりも酷い・・・だがそれも数分の事だ。
「・・・だ、だだいじょうぶかい?」
「大丈夫です、それより先生・・・どこか疲れていませんか?」
「なっななんでそう思うんだい?」
クィレルは少し動揺したように言う。
「・・・いいえ、何でもありません・・・・・・忘れてください。では」
確かに、どこかやつれた感じはあった。
魔力が結構磨り減っていたのも確かだ・・・そんなにも魔力を使うような事なんて一体何をしたのだろうか・・・?
「・・・まさか、な」
そんな訳ないかとふつふつと浮かび上がる疑いを心の底へと押し込んだ。
名前が見えなくなった頃、廊下には不気味な声が響いていた・・・・・・
『・・・あの小僧、たしかあやつの・・・・・・』
「はい、セブルス・スネイプの1人息子です・・・」
『それにレーガン家の魔力も感じた・・・アリスの息子だな―――っふ、これは楽しみになってきた』
「・・・かと言いますと?」
『クィレル、あの小僧には手を出すな―――あの男の息子だろうから閉心術には長けているだろう・・・俺様が命令する時以外はあの小僧に一切近づくな、何が何でもだ』
「っはいご主人様・・・!」
クィレルはまだヴォルデモートの考えが未だによく理解できずいにいた。あの小僧に闇の印をつけてしまえば早いものの・・・何故に行動に移されないのだろうか。そんな疑問もヴォルデモートの不気味な笑い声と共に夜の闇へと飲まれていった。